イギリスでも、冬のガーデンの味方のクリスマスローズ(ヘレボラス)。注目の品種や原種をご紹介します。
Helleborus ‘Ice N’ Roses Red’(ヘレボラス・アイス & ロージーズ レッド)
(写真上)「一株でこんなにたくさん咲くの?」というのが第一印象。‘氷とバラ’という意味の名前にふさわしく、赤紫のような深みのある花はまるでバラのように華やかです。上向き加減に咲くのも魅力的で切り花にもオススメだそう。毎年1月にドイツのエッセンで開催される園芸見本市IPM Essenで、新種の宿根草部門でトップに輝いたクリスマスローズです。
Helleborus torquatus(ヘレボラス・トルカータス)
原種のデリケートな美しさも華やかなハイブリッド種に負けません。トルカータスは、花びらの外側はグレーに近いような深みのあるパープルに対して、内側はグリーンというコントラストが美しいカップ咲き。細葉も魅力的で、コレクターには必須アイテム。
Helleborus liguricus(ヘレボラス・リグリクス)
「レモンの香りがするよ」と言われて、どうぜほのかな香りなのだろうとタカをくくって匂いを嗅でみてびっくり。イエローグリーンの花色にふさわしい、シトラスの爽やかな香り。株によって匂いに強弱はありますが、太陽に当たるとその芳香性はぐっと強くなるようです。北イタリアのリグーリア地方原産。
2月から3月にかけてオープンガーデンをする庭では、やっぱりクリスマスローズが主役
新しい品種や珍しい品種は話題性がありますが、万華鏡のように色も形も豊富なオリエンタリスは惜しみなく咲いてくれるのがうれしい。イギリスでは1850年代に大流行した後、一旦は時代遅れになったヘレボラスですが、オリエンタリスの交配によるダブル、ピコティー、スポットなどの出現や稀な原種の発掘により、春を心待ちにするガーデナーの強い味方です。
2月から3月にかけてオープンガーデンをする庭では、やっぱりクリスマスローズが主役。
著者プロフィール
白井法子
ケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
イギリス
『園芸ガイド』で「イギリス・ガーデニングレポート」を連載中。