一石二鳥のヘッジロウ(生け垣)

イギリスのカントリーサイドはなぜ美しい?

その理由はいくつかあります。
レンガや石造りの家、壁を覆うつる性の植物、手入れの行き届いた前庭の芝など。
そして、あまり目立たないものの、忘れてはいけないのがヘッジロウ(生け垣)の存在です。
元々は、牛や羊が敷地から逃げないように、柵として植えられたものですが、長い年月をかけて、美しい景観の要素になっています。
トップの写真は、ガーデナーの友、ヘッジロウでひと休みしているレッドロビン。

 

ヘッジロウの種類

同じ種類のシュラブ(低木)を並べて植えたもの、また、違った種類のシュラブを組み合わせたもの、そして、木の枝を重ねるように編み込んで積み上げていくタイプのヘッジロウもあります。
イギリスでは、13世紀ごろから盛んになったと言われているので、数百年もの歴史があるというわけです。

 


Crataegus monogyna ホーソーン(サンザシ)

 


Rosa caninaドッグローズ(イヌバラ)とブラックベリーのミックス

 

エコシステムの形成

ヘッジロウのもうひとつの魅力は、小動物に生息空間を提供すること。
鳥が巣を作ったり、ハリネズミやネズミなどの小さな哺乳類が冬眠したり、カブトムシなどの昆虫の住み処にもなります。
それらが持ち込んだ木の実や排泄物がヘッジロウの肥料となり、そこから新しい植物が育つなど、環境保全に役立つエコシステムが自然と作られていくのです。
景観を高めると共に、野生動物や昆虫にもやさしく、まさに一石二鳥と言えます。

 


麦畑を取り囲むヘッジロウ。手前にはワイルドフラワーメドウが広がる。

 

著者プロフィール

白井法子 Noriko Shirai

ケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
イギリス園芸関係のジャーナリスト、写真家などで構成される、ザ・ガーデン メディア ギルト正会員。雑誌『園芸ガイド2021夏号』でも、「A Life with Plants UK Style イギリス流 植物のある暮らし」を好評連載中。