春の訪れ
先週の雪や氷の景色がまるで夢だったかのように、気温の上がっているイギリス。
週末はまるで春のような気候で、気温が15度を超えたところもあったよう。雪の中でこの暖かさを待っていた球根たちが一気につぼみを開いたという感じです。
写真は教会の土手に咲く、Crocus tommasinianus(クロッカス・トムマシニアヌス)。イギリスでは、「トミー」という相性で呼ばれることもある、親しみやすい品種です。
この時期、あまりにも美しいので、以前にもこのブログで紹介したことがあります(「クロッカスローン」)が、芝生の中で自然に近い形で育てる手法「Naturalising(ナチュラリジング)」がよく見られます。
デリケートな模様
クロッカスの魅力は、ふんわりとしたゴブレット型のつぼみとその花弁のデリケートさ。写真(左)は、ゴールデンイエローの花びらに濃い紫の縞模様が入る、Crocus chrysanthus(クロッカス・クリサンサス)。
写真(右)は矮性アイリスのIris reticulata ‘Alida’(アイリス レティキュラータ‘アリダ’)。紫の絞り生地のような花びらに一筋入る黄色のマーキングがまるで水彩画のよう。
スプリングジェム
春咲き球根は時に「スプリングジェム(春の宝石)」と呼ばれます。スノードロップやクロッカスなどのように、花自体は小さく、花期は短くても、冬景色の中で宝石のようにキラキラと輝くのがこう呼ばれる理由。
自然が創り出す、美しい色、そして、神秘的な模様は、樹々の葉や宿根草が動き出す前だからこそ、より楽しめるのでしょう。
著者プロフィール
白井法子 Noriko Shirai
ケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
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