カントリーハウスのウォールドガーデン

歴史的背景とその種類

先週一週間、「バーチャルチェルシー」と呼ばれる、テレビやウェブ上のチェルシーフラワーショウが行われました。
新型コロナウイルスの影響によって、実際のフラワーショウは中止でも、これまでのハイライトや出展予定だったデザインなどの紹介でテレビ番組が成り立つところがイギリスです。

「カントリーハウス」とは、16世紀から第二次世界大戦前に作られた、貴族や地主が所有していた邸宅のこと。
別名「権力の家」、持ち主の勢威を見せつけるために存在していたとも言われています。
カースル(城)、アビー(修道院)、ハウス、ホールなど、建物の由来を反映して、広さや建築様式によって呼び名が違っているのも特徴です。
そのほとんどには、Walled Garden (ウォールドガーデン)、その名の通り、壁で囲まれた庭が備わっていました。
今でも、カントリーハウスに住むことはイギリス人にとって憧れで、ウォールドガーデンはそのままの形で残され、観賞価値の高い庭として重宝されています。

 

高い壁の役割

元々ウォールガーデンには、動物や侵入者などの外敵から守るために高い壁が設けられていました。
そして、その高壁は風や霜などの悪天候から作物を守る働きもしました。
広い敷地に設けられたウォールガーデンは、当時、カントリーハウスで働いていた人々の食事などをまかなうためのキッチンガーデンとして機能していました。

比較的暖かくなる局部気候を利用して、
果樹やハーブを育てている

 

ゴシックゲート

写真は、ウォールドガーデンの一部を壊し、ゲートをつけている現場。
ガーデンデザイナーの指示によって、ゲートの場所を移動する工事ですが、元の壁をていねいに壊し、そのレンガを使って新たにゲートを作っています。
イギリスの建物や庭園が当時の美しさを保てる理由のひとつは、オーナーもデザイナーも、そして、職人も既存のものを大切にしようとする精神にあります。

 

著者プロフィール

白井法子 Noriko Shirai

白井法子さんケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
イギリス園芸関係のジャーナリスト、写真家などで構成される、ザ・ガーデン メディア ギルト正会員。『園芸ガイド』で「イギリス・ガーデニングレポート」を連載中。