ひと昔までは、イギリスでは一種類の植物を一つの鉢に植える、Single Species (シングル スピーシーズ)と呼ばれるコンテナの飾り方が主流だったように思います。歴史に残る庭師だった、故クリストファー・ロイド氏 (1921 – 2006) のグレートディクスターガーデンのように、植木鉢をたくさん並べて、ボーダーのような雰囲気を出す「寄せ鉢」と言われるスタイルです。
そうは言っても、イギリス製ハンドメイドテラコッタのウィッチフォードポタリーなどでは、随分前から、Multi Species (マルチ スピーシーズ) という日本でいうところの「寄せ植え」をしていましたが、ここ最近、こちらのガーデニング雑誌にも「寄せ植え」が紹介される機会が多くなったと感じています。週末に訪れた、ノーフォーク地方の海岸近くにある、East Ruston Old Vicarage Gardenは、個性たっぷりの大型コンテナが充実していて、毎回訪れるのが楽しみな庭です。庭に設けられた「防風林」のおかげで、潮風の吹かない海洋性気候が保たれているそうで、エキゾチック感たっぷりです。
大花の存在感
Brugmansia x candida ‘Grand Marnier’
エンジェルズトランペット‘グランマルニエ’
グランマルニエとはフランス産のオレンジ・リキュールのことで、名前負けしないような見事なアプリコットオレンジの花。
足元には、プレクトランサス・アルゲンタスとペルシカリア‘レッドドラゴン’にヘリクリサム・ペティオラーレ‘バリエガータ’の絶妙なリーフの組み合わせ。
グラスを効果的に
Elymus magellanicus
エリムス・マジェラニカス
ブルーシルバーのすっきりとした常緑葉が魅力。他のグラス類のように生長が早くないので、寄せ植えにも使い易い。スタンダード仕立てのフクシアの足元にベゴニア ミリオンキッス‘エレガンス’と一緒に。
フォーカルポイントになっている足付きのアーンからも垂れ下がり、寄せ植えに動きを与える。
著者プロフィール
白井法子
ケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
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