先週からレポートしてきたチェルシーフラワーショウ2017。ショウが終わってほぼ一週間経ちますが、「あーだった、こーだった」とまだまだ人々の意見交換が続いています。4回目の最後は、 植栽のトレンドについて。
構造物にお金をかけるショウガーデンが増えていると言われる中、やはり植栽は庭の鍵となる存在です。デザイナーはほとんどの場合、大手のナーサリーに委託して植物を育ててもらいますが、毎年、まるで示し合わせたかのように、ショウガーデンの中で、「ここでも、あそこでも」と目立って使われている植物がいくつかあります。また、全体的にもグリーンが主流の年、オレンジが目立つ年など、主流になる色も分かれる傾向にあります。
色:ワインレッド&マジェンタ
今年目立っていたのは、ワインレッド、マジェンタなどの赤紫系。グラス類やブロンズフェネルなどと組み合わせた大人っぽい植栽が目にとまりました。Cirsium rivulare ‘Atropurpureum’(アザミの一種)は今回一番使われた植物と言われています。
Lysimachia atropurpurea ‘Beaujolais’ (リシマキア・アトロパープレア‘ボジョレー’)も存在感あり。
形:トール&スパイキー
背が高く、先の尖った植物が多く見られたのも今年の傾向の一つ。鮮やかな壁とメキシコ特有の植物を庭に用いたことで知られる、メキシコの建築家であったルイス・バラガン(1902-1988)にインスピレションを得たデザイン。アガベが壁に映える。
鉢の中にふんだんに使ったFritillaria persica(フリチラリア・パーシカ)は落ち着いた植栽の中でスポットライトを浴びたように引き立つ。
Stipa gigantia(スティパ・ジャイガンティア)を黒壁の前に持ってきた粋な使い方。
Salvia nemorosa ‘Caradona’(サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’)は、ダークな茎が映える、デザイナーが好んで使うチェルシー植物の定番。今年も参考にしたい組み合わせがたくさんありました。
Lupinus ‘Persian Slipper’(ルピナス‘ペルシアンスリッパ’)と。少し‘オールドファッション’という雰囲気のあるルピナスですが、ここのところ人気が復活しています。
人気急上昇中のVerbascum ‘Fire Dance ‘ (バーバスカム‘ファイヤーダンス’)との組み合わせ。ダスキーレッドと呼ばれる、くすんだ感じの赤が魅力。
自然界でもこの時期に咲く、アリウムとの組み合わせはやはりホッとします。
著者プロフィール
白井法子
ケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
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