花の魅力をきちんと表現する写真の撮り方

シラー・メソポタミカ
青い宝石の様な美しいこの花の魅力は何処なのか?
1番気になるのは真っ青な雄しべです。
ではその雄しべがいちばん良く見えるアングルは?
少し下から見上げるように見ると、薄いブルーの花弁と重なってとてもキレイです。
小さい花なので花だけを撮るのではなく、葉とつぼみも入れて撮ってみました。

 

こんなときだからこそできること

2月は「冬こそ園芸シーズン」ということで、昨年11月から今年の2月までのビオラ、クリスマスローズやスノードロップ、球根類などの楽しかった撮影のお話をさせていただきましたが、今月は困りましたね。
世の中は「コロナウィルス」一色。
テレビをつければロンドンもパリもニューヨークも、人っ子一人いない街角の映像ばかり。
日本だけ数字が低いのはナゼって思っていたら、オリンピックの延期が決まっったとたんに、東京も外出自粛って、やっぱりそういうことだったんですね。

ミラノの高校の校長先生が生徒にむけて書いた手紙が話題になりました。
「冷静さを保ち、いつもの生活を続けて下さい。せっかくの休みですから、散歩をしたり良質な本を読んで下さい。またお会いできる日を学校で待っています」
素敵な手紙ですね、こういうときこそ教育者の出番ですね。
学校が休みの間に子供たちがゲーム三昧の生活にならないように、この騒ぎが読書の習慣を身につけるよい機会になったらいいなと思います。

家族そろってリビングルームで本を読んだり、散歩に行ったり、たまには庭のお花に水をやったりして、そんな事がきっかけで園芸好きの子供が増えたりしたら嬉しいですね。
僕も子供のころは祖父の家に行った時にはよく祖父を手伝って庭に出て水やりをしたものです。

家族で庭に出て、花の写真の撮影会をやるなんていうのも楽しくて良いかもしれません。
子供が撮る写真のほうが上手かったりするかもしれませんよ。

ということで、今月は写真講座をしてみることにしました。

 

カメラを構える前に、イメージを描こう

僕が撮影する時にいちばん心がけていること、それは「その花の魅力をちゃんと表現する」こと。
良い花を見つけたらいきなりカメラをかまえるのではなく、まずはちゃんとその花を見るのです。
その花の魅了的なところがどこなのかを見つけたら、今度はどのアングルから見たらいちばん魅力的に撮れるかを考えます。
頭の中で写真の構図が決まったら、ここで初めてカメラの出番です。
自分のイメージに合わせてカメラをセットしてシャッターを切ったら出来上がりです。
カメラをセットしてからいろいろ考えるのではなく、「頭の中でイメージを描くこと」、それが大切なのです。

 

バビアナ・セダーベルゲンシス
僕の大好きな南アフリカ原産の球根植物で、ササの葉みたいな葉から細い茎を伸ばした先に不釣り合いなほど大きなブルーの美しい花を咲かせます。
花が美しいので花だけをのぞき込んで撮影してしまいそうですが、それだとナーセリーのカタログ用の写真みたいになってしまいます。
この花のブルーはグリーンの葉がバックに来るとよく映えるので、上から覗き込むのではなく低めのアングルで撮影しました。

 

イカリ草・マリコ
イカリ草もかわいくて大好きです。
このマリコという品種は、外側の花弁のピンクが濃くて内側の白い花弁と重なって本当にかわいらしいので、花の形がよくわかるように下からのぞき込むようにして撮影しました。
新葉の薄茶色もきれいなのでバックになるように。
木漏れ日の中で撮ったので、後ろのグリーンの葉っぱが透けて明るいグリーンになり、なおさら良い写真になったと思います。

 

花色を生かしてくれるグリーンバック

僕が花の撮影をする時に気をつけているのは、写真のバックをグリーンにする事です。
いくらきれいな花でも、花の後ろが赤や黄色や葉っぱがピカピカと光っていたら、肝心の花がきれいには見えません。
僕が撮影する時は花の後ろがグリーンなるように、クリスマスローズのような葉の大きな植物の鉢を並べて撮るようにしています。
花の色がピンクでも黄色でもブルーでも、緑以外ならどんな色でもグリーンバックがきれいだと思います。

グリーンのバックをどれくらいボカしたらきれいなのかを、フルーレットいうビオラの鉢を、100ミリマクロレンズの絞りを変えながら撮影して比較してみます。
レンズの絞りは数字が小さいほど後ろがぼけて、数字が大きくなるのに比例してピントが後ろまで合うようになります。

 


F 2,8で撮影
手前の花だけピントが合って、後ろの花のピントは合っていないので、せっかくかわいい花がたくさん咲いているのに、それが伝わらない写真になってしまいました。

 


F8で撮影
バックはキレイにぼけていますが、花も真ん中くらいまでピントが合っているので、これくらいが自然な感じで良いと思います。

 


F22で撮影
花はキレイに写っていますが、後ろのクリスマスローズの葉っぱも見えるようになってしまい、バックがにぎやかすぎて花のかわいらしさが伝わらない写真になってしまいました。

もしかしたらまだしばらくは不要不急の外出を控える日が続くのかもしれません。
僕は庭の草花の手入れをしたり、晴れてきれいな光の朝は花の写真を撮ったりしながら、この騒ぎの収まるのを待つことにします。
皆さんも家の中にいるのが飽きたら、庭に出て花の写真でも撮ってみて下さい。

 

著者プロフィール

Hideharu Imai 今井秀治

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フリーのフォトグラファー。
旅行雑誌の取材で行ったイギリスで、ガーデニングの魅力にはまり、仕事も園芸雑誌が中心に。
「趣味はバラとクレマチス、クリスマスローズの収集。最近は小球根も加わって、庭は足の踏み場もない状態です。主婦の友社の『ガーデンローズカレンダー』は毎年好評でライフワークのようになっています」
https://www.facebook.com/hideharu.imai

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