夜温が秋バラをきれいにさせる

Lady Emma Hamilton
秋、夜温が下がったころに見せるこの色が、本来の‘レディ エマ ハミルトン’なんだろう。

 

秋バラ開花直前の台風直撃

今年のコラムは天候不順の話で始まることが多かったように、本当に天候に振り回された一年でしたね。
なかでも9月末の台風24号は、強力な勢力を保ったまま、僕の自宅がある千葉県を直撃。
とにかくすごい風で、「家が吹っ飛ぶんじゃないか」と心配で眠れないくらいの、今までの人生でいちばん怖いと思った台風でした。
雨はほとんど降らずに風だけが吹きまくった台風で、翌朝、家の外に出てみると車のフロントガラスは塩で真っ白。
庭へ回ると、鉢という鉢はほとんどひっくり返り、折れた木の枝が散らかって、バラも葉っぱが塩でべたべたでした。
あわてて庭じゅうに水をまいて、洗車も済ませましたが、数日すると半分以上のバラが葉を茶色く変色させてしまいました。
町のイチョウの街路樹も、海側の葉が茶色くなって落ちてしまい、反対側は緑の葉っぱが付いているという異様な姿に。
さすがにこれでは今年は秋バラも紅葉も期待できないなと、撮影をあきらめようと思っていたのです。

 

台風が残した爪痕、その後には……

それでも10月半ばになると、京成バラ園の村上敏さんから「バラ園は3部咲きです。今年は開花が遅い分長く楽しめそうです。遅く咲くバラは香りも色も良いですよ」とフェイスブックで発信がありました。
それではと行ってみると、どのバラもつぼみがたくさんついていて、咲いている花もすごくきれいでした。
さすが京成バラ園、台風の後のケアがすごいな~と感心しながら、その後も何回か撮影にうかがいましたが、11月半ばになってもまだ満開の状態で、本当に村上さんの言ったとおりでした。
撮影中には同じく京成バラ園の入谷伸一郎さんにもお会いしたので、「今年の秋バラはきれいですね」と伝えると、このような説明が。
「台風で一番花のつぼみは飛んでしまいましたが、葉はついていたのです。例年より半月遅く気温が下がりだしてからニ番花が咲きだしたので、今年の花はきれいなんですよ」。
なるほど、今年のバラはいつも以上にきれいなわけです。

 

秋バラが香りよく、色もきれいな本当の理由

また、11月3~4日には花フェスタ記念公園で写真講座をさせていただきました。
その際、お客さまにスライドショーの中で秋のバラの写真を見てもらっているときに、ガーデナーの西依さんに秋バラの魅力について説明をお願いすると……。
「春にくらべて、秋のバラは枝葉の伸長がそれほど盛んではなく、夜温が低下するため呼吸が制御されるのです。昼間、光合成でたくわえられたエネルギーが、色素や香りの成分の合成に費やされるため、秋のバラは色、香りとも良くなるんですよ」と、ていねいに教えてくれました。
長年バラの撮影をしてきましたから、秋バラは香りが良いとか、春に比べてカップ咲きのカップが深いとか漠然とは知っていましたが、重要なのは「夜温」だったのですね。
台風の直撃は大変でしたが、そのおかげもあって、改めて秋バラの魅力を再発見させていただいた今年の秋シーズンでした。

 

Princess Alexandra of Kent
春はおおらかにふんわり咲く‘アレキサンドラ オブ ケント’も、秋は花弁がびっしりと。

 

The Squire
色も形も素晴らしい、イングリッシュローズの魅力があふれる‘ザ スクワイアー’。

 

Hans Gonewein
‘ハンス ゲーネバイン’。この花は春も秋も変わらずにかわいい。

 

Pompon de Paris
台風で葉っぱがほとんど散ってしまった我が家の‘ポンポン ド パリ’が狂い咲きしていました。

 

 

著書プロフィール

Hideharu Imai 今井秀治

4g_mg_2109

フリーのフォトグラファー。
旅行雑誌の取材で行ったイギリスで、ガーデニングの魅力にはまり、仕事も園芸雑誌が中心に。
「趣味はバラとクレマチス、クリスマスローズの収集。最近は小球根も加わって、庭は足の踏み場もない状態です。主婦の友社の『ガーデンローズカレンダー』は毎年好評でライフワークのようになっています」
https://www.facebook.com/hideharu.imai

|

PAGE TOP