ロンドンにはたくさんの博物館や美術館があり、そのほとんどが特別展を除いては入場無料。相当数の展示物の上、世界的に希少稀なコレクションを見学することができるので、いつも太っ腹だなーと思います。その中の一つで特に家族連れに人気なのが、Natural History Museum(ナチュラルヒストリーミュージアム)と呼ばれる、自然史博物館。恐竜、化石はもちろん、哺乳類から鳥類、そして、植物の歴史が見学できます。ロマネスクな建物の前の入り口付近の植栽は、(園芸ガイドの2018年秋号でご紹介した)アーキテクチュアルプランツでまとめてありました。
テーマはカナリア諸島
イギリス人の休暇旅行先として1、2を争う、大西洋上の諸島、カナリア諸島(スペイン領)やマデイラ諸島(ポルトガル領)に生息する植物のコレクションで、大西洋諸島原産のものだけを集めたと説明がありました。植物リストには、Phoenix (フェニックス/カナリーヤシ)、Degitalis(デジタリス)、Lavendula(ラベンダー)、Aeoniumu(アエオニウム)、Sonchus(ノゲシ)、Canarina (ベルフラワー)、そして、Echium(エキウム)など。
Echium decaisnei
ムラサキ花のエキウム・ピニナナやカンディカスの方が知られていますが、エキウムにしては、コンパクトなシロ花で、クリスマスも間近だというのに、たくさんの花を咲かせていました。
この写真は、自然史博物館提供のものですが、4月に植えて、こんなに大きくなったのですね。
© The Trustees of the Natural History Museum, London
ジャイアント・ハーブロバートと呼ばれる、Geraunium maderense
耐寒性がそれほどないので、イギリスでは一般的に冬の間は室内に保管しますが、草丈が150cmほどになるので見応え十分。切り込みの深い葉も特徴。
自然史博物館の正面の写真。この植物コレクションは、両サイドに、建物と同じ色調のテラコッタで作られた大型プランターに植えられています。
© The Trustees of the Natural History Museum, London
著者プロフィール
白井法子
ケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
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