やっと本格的なガーデニンングシーズンが到来したイギリス。ガーデナーの間の会話も盛り上がってきました。「グレートディクスターのような植栽にしたい」というのはよく聞かれるセリフです。グレートディクスターは、色の魔術師と呼ばれた元オーナー、故クリストファー・ロイド氏の庭として、日本でもよく知られています。彼が亡くなったのは、ちょうど私がイギリスに来た2006年だったと記憶しているので、12年以上が経過しています。オーナーが変わると、庭のイメージがガラッと変わってしまうことがよくありますが、その色彩感覚や植栽技術は、長年ヘッドガーデナーとしてロイド氏に仕えたファーガス・ガレットさんによって今もなお引き継がれ、人々を魅了し続けています。そのダイナミックな植栽にはいろいろ秘訣があると言われていますが、その一つは庭で自生する植物たちです。
こぼれダネで育つルナリア
これまでに何度もグレートディクスターを訪れましたが、春の庭は特別だと感じます。宿根草とチューリップの大胆な色の組み合わせの間から、こぼれダネから育った植物がところ狭しと咲いている姿はグレートディクスターならでは。庭のあちこちで咲いていて目に留まるのが、Lunari annua(ルナリア・アニュア)。イギリスでは、オネスティーと呼ばれることが多いですが、タネさやがコインのようなので、マネープラントという別名もあります。
斑入り葉のルナリア
この斑入りの品種(Lunaria annua ‘Variegata’)は、ボーダーの中でも「おー」と目を引きます。以前、グレートディクスターで、タネを買って育てたことがありますが、ちゃんと斑入りの葉が出ました。2年草扱いされますが、こぼれタネで増えるため、一度自生すると庭の中で増えて隙間を彩ってくれます。ピンクの他に白花の品種(Lunaria annua ‘Alba Variegata’)もあります。
著者プロフィール
白井法子
ケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
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