シシングハースト・キャッスル・ガーデンの魅力

先週のレポート(パーチヒルのオープンガーデン)の最後に、シシングハースト・キャッスル・ガーデンとの関係について触れました。数多くのイギリスの名園の中でも最も美しいと言われる庭。どこかロマンチックで、どこかワイルドで、惹きこまれてしまうような庭を創りあげたのは、ヴィータ・サックヴィル=ウェスト女史とその夫、ハロルド・ニコルソン氏の二人の才能の他なりません。

ガーデンは夫婦の共同作品

 


二人が、荒れ果てて2年も買い手がつかなかったと言われるシシングハースト・キャッスルの土地を購入し、開拓することを決めたのは1930年のこと。二人は夢中になって、廃墟を美しい庭園へと変貌させました。「英国庭園に必要なのは、水、樹木、生垣、芝生である」と、直線的な美しさを求めたハロルドに対して、ヴィータはその中で溢れんばかりに咲き乱れる植栽を試みました。

二人の秘密

女流作家、詩人であったヴィータは、名門のサックヴィル家の長女として生まれ、大邸宅であるノール・ハウスで育ちました。21歳の時に、エリート外交官のハロルドと結婚しました。この絵に描いたような結婚ですが、実はヴィータもハロルドもそれぞれに同性愛者の恋人がいました。オープンマリッジ(開放的な結婚)として、結婚後もお互いに同性の恋人を持っていたと言われています。今でこそ、同性愛者への理解が高まっていますが、当時の保守的であった英国社会の中で生まれたこの庭には、他にはない、妖艶な魅力が漂っているように感じます。

Prejudice and Pride

1967年は、同性愛が違法ではなくなり、今日のように認められるようになった記念すべき年。その50周年を祝って、イギリスの各地でイベントが行われていて、シシングハースト・キャッスル・ガーデンでも、ヴィータとハロルドに敬意を表して、その歴史を振り返る展示が行われています(写真は展示より)。

シシングハースト・キャッスル・ガーデン、ヴィータが生まれ育ったノール・ハウスは共にケント州にあり、現在は共にナショナルトラスト(英国の文化財と自然保護を目的とする財団)の所有です。

https://www.nationaltrust.org.uk/sissinghurst-castle-garden

https://www.nationaltrust.org.uk/knole

著者プロフィール

白井法子

白井法子さんケンブリッジ大学植物園での研修後、夫ともに再び渡英。
イギリス園芸関係のジャーナリスト、写真家などで構成される、ザ・ガーデン メディア ギルト正会員。『園芸ガイド』で「イギリス・ガーデニングレポート」を連載中。

 

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